圧倒的存在感! 健大高崎・箱山遥人は多彩なプレースタイルで試合を支配する名捕手の器 (2ページ目)
【高校通算29本塁打の打撃も魅力】
1年秋から正捕手を務めており、捕手らしい細やかさを持ち合わせている。昨年はプロ注目投手だった小玉湧斗(現・法政大)とバッテリーを組み、現在は1学年下の佐藤や石垣元気をリードする。佐藤は精度の高い変化球を操る実戦派左腕、石垣は今大会に最速147キロをマークした速球派右腕とタイプが異なる。
箱山は、投手によって声のかけ方を変えているという。
「佐藤は自分で考える力があって経験もあるので、落ち着いて『ここを攻めるよ』と明確に意図を伝えます。石垣は何もあまり考えていないタイプなので、ピンチの場面でも『大丈夫っしょ』とちょっとリラックスさせてやることを意識しています。あまり気にしすぎることなく、持っているものを出してくれればいいので」
試合中はベンチを頼ることなく、自分の判断で内外野のポジショニングまで目を配る。まさにグラウンドの司令塔だ。
高校通算29本塁打を放っている打撃面では、学法石川戦の7回に貴重なタイムリーヒットを放ったものの「力みがありました」と不満げだった。内角の厳しいストレートや緩い変化球に対してフルスイングをさせてもらえないケースが目立ち、次戦への課題になりそうだ。
そして、もうひとつ。箱山は学法石川戦の試合後に決然とした口調で、こんなことを語っている。
「『機動破壊は終わった』とか、『もうやっていない』とか言われているんですけど、今年の冬は機動破壊のノウハウをやりこんできて、いろんなバリエーションを増やしてきたつもりです。今日はあまり出す機会がなかったんですけど、これから出せる走塁術もあるので。相手にプレッシャーをかける走塁をしていきたいです」
2回戦は明豊(大分)と対戦する。走・攻・守に箱山遥人が支配力を発揮したその時、どのチームであっても健大高崎を止めるのは難しいはずだ。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
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