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甲子園で木製バット使用 青森山田2選手のフロンティア精神と浮き彫りになった野球界の課題 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 彼らの言葉を聞いて、「実力がある者は木製バットを使おう」と安直に言うべきではないと痛感した。

 野球の競技人口が低迷している一因に、「高額な用具」が挙げられている。ユニホーム、グラブ、バット、スパイクなど、野球は用意すべき道具が多い。ただでさえ金銭負担の大きなスポーツなのに、そこへ「木製バット購入」という重荷がのしかかれば野球はますますブルジョア・スポーツの道を突き進むことになるだろう。

 對馬と吉川の挑戦には、ただただ拍手を送りたい。その一方で、今回の木製バット登場は野球界が直面する現実と課題を浮き彫りにする出来事でもあった。

著者プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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