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関西大・金丸夢斗は2024年ドラフト戦線の主役になる逸材 敵将たちも「モノが違う」と大絶賛 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

【今秋リーグ戦で無双のピッチング】

 今秋の関西学生リーグで、金丸は「無双」と言っていい投球を見せている。6試合に登板して6勝0敗。51イニングを投げ、被安打32、奪三振74、失点2。防御率は0.35。1年時からリーグ内の監督たちが「金丸だけはモノが違う」と口を揃えていたが、いよいよ本格化した感がある。

 金丸が進化した背景を探っていると、本人の口から「重心を理解して体を動かせるようになった」という言葉が飛び出した。にわかには理解しがたい内容だったため、掘り下げて聞いてみた。

「3年の春に右ヒザをケガしてから、『体のどこかに負担がくる投げ方なんだな』と考えて、フォームや練習のやり方を変えたんです。それまでは重心がバラついて、力む原因になっていました。重心の感じ方は日によって違うので、キャッチボールの前に重心を定める作業をするようにしました」

 重心を定める作業。耳慣れない言葉だが、どんなことをするのか。そう尋ねると、金丸は「呼吸」を挙げた。

「呼吸をしっかりと一定にして、エクササイズをします。ピッチャーはマウンドのように傾斜のある不安定な場所で投げるので、ブリッジや逆立ちをしながら呼吸して重心を確かめています」

 まるで仙人にでも話を聞いている気分になった。極めて難解な作業に思えるが、金丸は「最後は自分の感覚です」と笑った。重心を理解できるようになると、今までにない感覚が芽生えたという。

「動作の再現性が上がっています。リリースの瞬間に100パーセントに持っていきやすくなりました」

 コントロールに難がある左投手も多いが、金丸は正確に打者のインコースを突ける制球力も武器にしている。

 大きな故障でもしない限り、来年の大学日本代表は金丸が投手陣の中心になるだろう。とはいえ、同学年には佐藤柳之介(富士大)や徳山一翔(環太平洋大)といった逸材左腕もいる。その点について触れると、金丸は「本当にレベルが高いですね」と苦笑した。

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