八戸学院光星2年生左腕コンビが台頭 2年連続夏の甲子園へ視界良好! (2ページ目)

  • 田口元義●文・写真 text & photo by Taguchi Genki

「相手は嫌らしいバッターが多いなか、秋は軽い気持ちで試合に入って打たれてしまいましたけど、今日はその反省を踏まえて、ランナーが出たらギアを上げたりとか......気持ちを入れて投げることができました」

 その洗平が「あとひとり」から二塁打を許し、一打同点のピンチでマウンドを託され後続を断ちきったのが岡本だった。

【冬場のトレーニングで心身とも成長】

「同級生であり、いいライバル」

 東北大会で3試合に投げ、13回2/3を4失点と主戦の役割をまっとうした洗平からそう言わしめる岡本は、この春、エースナンバーを背負った。3試合8回1/3を投げ防御率0.00。1年から甲子園のマウンドに立ったライバルをもしのぐピッチング内容だった。

 岡本はひと冬越え、著しく成長を遂げたピッチャーだ。岡本も昨年秋まで洗平と同じように精神面に課題があった。ランナーを出すと「打たれたらどうしよう......」と左腕が萎縮し、思うようなボールを投げられずにいた。

 そんなうしろ向きな思考が改善されたのが、シーズンオフのトレーニングだった。「自分には力がない」と自覚し、筋力トレーニングに励み、食事面も見直したことによって、ボールの威力が格段に増した。それによって変わってきたのが投げっぷりだ。

「前まではフォアボールを出すと、続けてしまっていたんですけど、今はそれがなくなりました。冬に鍛えたことで、メンタル面も自信が持てるようになりました」

 それまで最速138キロだったストレートは、東北大会初戦の鶴岡東(山形)戦で145キロ、準決勝のノースアジア大明桜(秋田)戦では147キロと一気に伸ばした。

 おそらく、来年のドラフト候補にラインナップされるであろう洗平と岡本。豊かな素質を有しているからこそ、仲井監督は気持ちを引き締めるように彼らを見守る。

「ふたりとも未完成ですし、無理をさせるつもりはありません。あまり勝ちにこだわりすぎると故障にもつながりますしね。そこは考えながらやっていこうと思います」

 まだ伸びしろがあることはわかっている。だからこそ焦らず、ひとつずつ成功体験を積み重ねていく。青森の連覇をかけた八戸学院光星の夏。洗平と岡本がライバルたちの脅威となることだけは間違い。

プロフィール

  • 田口元義

    田口元義 (たぐち・げんき)

    1977年、福島県出身。元高校球児(3年間補欠)。雑誌編集者を経て、2003年からフリーライターとして活動する。雑誌やウェブサイトを中心に寄稿。著書に「負けてみろ。 聖光学院と斎藤智也の高校野球」(秀和システム刊)がある。

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