高知「背番号17」の快投の裏にラプソードあり 武器のカットボールをどう使ったのか (2ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • 大友良行●撮影 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 ラプソードとは、ボールの回転数・回転軸などを計測して変化量を推定する機械だ。高精度のカメラとレーダーを搭載しているため、さまざまなデータを計測することができる。

「その数字だけにこだわっただけではありません。ただ、数値を見て、この方向で間違いないと思えました。辻井は練習の仕方、野球に対する取り組みが素晴らしくて、彼の影響を受けて(8回途中から登板した2年の)平悠真など、ほかのピッチャーたちも成長してくれました。甲子園の先発は辻井でと決めていました」

 辻井は監督の期待に応え、高知に春のセンバツ通算20勝目(歴代23位タイ)を呼び込んだ。1月に16歳になったばかりの辻井は言う。

「初回はバタバタしてしまいましたが、2回以降は落ち着いて自分のピッチングができました。ストレートを軸にしながら、コースにカットボールを散らしていこうとキャッチャーの高木心寧さん(3年)と話していました。カットボールで三振も取れましたし、バッターに引っかけさせることもできました」

 5回から7回までは三者凡退。相手に流れを渡さなかった。

「公式戦初の先発マウンドですごく緊張したんですけど、自分のヒットで逆転してからは甲子園という舞台でいいピッチングができました」

 8回に招いた一死一、二塁のピンチで、辻井が「一番のライバル」と認める背番号18、同級生の平にマウンドを譲り、その平が後続を打ち取った。

 8回途中1失点の好投を支えた変化球のひとつ、カットボールについて辻井はこう振り返った。

「カットボールはジャイロ成分が多くなるとガッと曲がるので、手首の角度であったり、リリースの指のかけ方であったりを、ラプソードでしっかり確認しながらピッチング練習をしました。カットボールではボールの回転軸が大事なので、キャッチャーの高木さんにも見てもらいながら」

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