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「前田ってこんなもの?」とはもう言わせない。大阪桐蔭・前田悠伍が誓う自己採点50以下からの逆襲 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

── そのためには?

前田 下半身強化でしっかり土台をつくることと、体重移動の動作だったり、上半身と下半身の連動性を高める動きだったり、ピッチャー用のトレーニングをより意識してやっています。たとえば、地面からの力をうまく上半身に伝える感覚を覚えるためジャンプ系のメニューを多めにしたり。ジャンプは地面からの反発力をしっかりもらわないと高く、遠くに飛べないので。そういうことを地道にやっています。

── 振り返って、秋の真っすぐは自分でも物足りなかった?

前田 去年の春、夏、秋で言えば、夏が一番よくて、春と秋は一緒というか、少し春がよかったくらいで......秋はよくなかったです。

【大きかった松尾汐恩の存在】

── 昨年の夏は大阪大会2試合、12回を投げたのみで無失点。大阪大会決勝の履正社戦では8回無失点。自己最速の148キロが出たのもたしかこの試合。そこから甲子園で先発、救援で1試合ずつを投げ、背番号1で迎えた秋でしたが。

前田 乗れなかったですね。

── 新チームでは主将になり、役割が増えたと思います。一方でバッテリーを組んできた松尾汐恩がプロ入り(DeNAドラフト1位)。"松尾ロス"があったと、秋の大会中に話していました。

前田 そこはありました。試合になったら、あの人はやっぱりすごかったと、あらためて思うことが多くて。松尾さんは自分を引き立ててくれるし、気持ちを盛り上げてくれる。僕の状態がベストじゃなくても、ベストに持っていってくれるというか、そう思わせてくれる。本当に気持ちよく、思いきって投げさせてもらっていたんだと、あらためて気づきました。

── 新チームで言うと、前チームから出ていたのはほぼ前田投手だけ。バッテリー間だけでなく、経験値の違いがほかの選手と比べて大きくあったなかでのスタートでした。

前田 新チームで試合をやって、まず思ったことが「あっ空気が違うな」と。先輩たちをバックに投げていた時は本当に投げやすい環境をつくってもらっていたのですが、新チームでは練習試合や大会前半はけっこうエラーが出たり、打線も打てなかったり......。投げながら、「三振しかアウトを取れないんじゃないか」っていう気持ちになったこともあったし、自分で自分を追い込んでいたというか、余裕がなかったですね。

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