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2023年ドラフトの目玉となるか。「広陵のボンズ」真鍋慧は伝説の先輩を超える実力と存在感 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 当時の真鍋はライナー性の打球を打つタイプだった。角度のある打球というより、レフトからライトまで広角に強いライナーで外野手の間を抜くイメージ。そんな印象を本人にぶつけてみると、真鍋は「そうそう」とでも言いたげに何度も首を縦に振ってからこう答えた。

「今は飛距離というより、角度を気にして練習しています。懐を深くして呼び込めるようにしたほうが、打球に角度が出て確率も上がると指導者にも言ってもらっていました」

 1年後に放った特大ホームランは、今までの真鍋のイメージを一新する美しい放物線だった。

「真っすぐを張っていて、絶対に打ってやろうと思っていました。甘いボールだったので、ミスしないように一発でとらえられるように」

 一時は村上宗隆(ヤクルト)の打撃フォームを参考にした時期もあったというが、「トップの位置が決まらなくなってしまって」と軌道修正。今は「ムダな動きをなくしたい」と、シンプルな打ち方になっている。

 あらかじめ軸足(左足)側に重心をかけ、バットヘッドを左肩上で寝かせるように構える。右足を軸足側に寄せてから投手に向けて強く踏み込み、ボールに対してやや斜め下からバットを入れていく。

「打球に角度を出す」という理屈はわかっていても、一朝一夕にマスターできる技術ではない。「打球角度は天性」と語る指導者やプロスカウトも多い。

ドラフトの目玉となるか

 だが、真鍋は正真正銘のスラッガーらしい打球を実演してみせた。真鍋の成長を見守ってきた中井哲之監督に感想を求めると、「あのくらいは......と言ったら失礼ですが」と前置きをしてこう続けた。

「夏に負けて(広島大会3回戦で英数学館に1対2で敗戦)、中心選手として悔しい思いをして、そこからキャプテンの小林(隼翔)とともにずっと頑張って、引っ張ってくれる姿を見てきましたから」

 真鍋なら、これくらいはやって当然。中井監督の求める次元は、もっと上にあるのだろう。

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