浅野翔吾への期待が確信に変わった瞬間。「この子はスター性がある」、巨人スカウトが明かすドラフト1位指名の裏側 (3ページ目)

  • 寺下友徳●取材・文 text by Terashita Tomonori
  • photo by Terashita Tomonori

アメリカ視察で感じた「繊細さ」

 侍ジャパンU-18代表では高松商で務めた中堅手でなく、左翼を守った浅野。ここで岸スカウトは、浅野の新たな一面に触れる。

「大会では試合前のノックがなくていきなり試合が始まるのですが、浅野くんはプレイボール前のわずかな時間を使って、レフト後方の金網のフェンスに(ボールが)当たったときの弾み具合を確認していたんです。そうした準備の大切さを大事にしている部分を知ることができた。価値あるアメリカ視察でした」

「豪快」の2文字が先行する浅野の「繊細さ」に触れ、プロ志望届提出後に行なわれた面談でも「打撃はこだわりがあって、いい意味で譲れない部分があることを知ることができた」という。

 その先にあったドラフト1位指名の歓喜。浅野は指名後に「岸さんは海外まで足を運んでくれて、誰よりも僕のことを見てくれた」と感謝の思いを述べた。岸スカウトは「他球団スカウトの思いも詰まっているので、大事に育てたいしサポートしていきたいです」と語った。

「よかったっすね!」「2年連続1位はヤバいっすよ!」。浅野の1位指名直後、岸スカウトの携帯電話には次々とメッセージが入った。その主は大勢をはじめとする、岸スカウトが担当した選手たち。そのなかにはこんなメッセージも含まれていた。

「岸ファミリーの一員として、温かく迎えますよ!」

 ジャイアンツファミリー、そして、「岸ファミリー」のニューカマーとして。2023年、浅野は、恵まれた環境のなかでプロ野球生活をスタートさせることになる。

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