「もう甲子園には行けないかも...」銚子商、絶望から快進撃の舞台裏。OB、監督が明かす復活のわけ (2ページ目)

  • 大友良行●文・写真 text & photo by Ohtomo Yoshiyuki

 だが近年は、木更津総合や専大松戸といった私学が台頭し、銚子商は2005年夏を最後に甲子園から遠ざかっている。「もう二度と行けないのではないか......」と語る町民もいたが、今春はあれよあれよと勝ち上がり「古豪復活」を強烈に印象づけた。

 監督就任6年目を迎えた澤田洋一監督は、この春の結果についてこう語る。

「昨年秋の大会で負けてから、選手たちが悔しさを糧に努力しました。冬は失敗を恐れずに個人個人が目標を立てたことで、昨年秋にはできなかったことができるようになりました」

 なかでも大きく成長を遂げたのが、エース右腕の飯島聖矢だ。澤田監督が言う。

「飯島には、とにかくスピードにこだわらせました。その結果、140キロを投げられるようになり、加えて変化球も打たれづらくなりました。とくにスライダーがよくなりました」

 左腕の関根大翔もこの春、飛躍したひとりだ。

「コントロールで悩んでいて、昨年秋まではとても投げさせる状態ではなかった。本人の悔しさもあり、いろいろ試しながら取り組んできた結果、春になって急に制球力がついてきました。ストレート以外にカーブ、スライダー、チェンジアップ、フォークもあるので、夏のためにと思い使ってみたらいい結果を出してくれました」(澤田監督)

 澤田監督は自身の経験をもとに、投球術も伝授している。

「現役の時は捕手だったので、投手の通用するボール、配球について、捕手目線で話し合っています。あの手この手で、いろいろと試してみたのが好結果につながったと思います」

 夏の千葉を制するためにも、関東大会の戦いは重要になる。攻守の要であるキャプテン・久保形怜司に抱負を聞いた。

「他校も各県を代表して勝ち上がってきている強いチームなので、怯むことなく、今まで自分たちがやってきたこがどこまで通用するのか試したい。勝つことで夏へ向けて弾みをつけたいし、関東大会で自信をつけたいです」

 17年ぶりの甲子園へ向けて、銚子商の戦いは続く。

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