鈴木誠也は「プロでやっていけるかもしれない」。二松学舎高時代の恩師が「代走」出場で感じた飛躍の兆し (3ページ目)
プロ3年目の2015年に97試合に出場し、打率.275、5本塁打を放って一軍での地歩を固めた鈴木は、2016年に大ブレイクを果たした。打率.335、29本塁打、95打点を記録し、チームの25年ぶりのリーグ優勝に貢献している。
カープ入団1年目、ファンに手を取られて笑顔を見せる鈴木誠也「プロに入ってからの誠也は、高校時代とはまったく違います。カープという球団で鍛えられ、本人が頑張って作った。能力の高さはわかっていましたが、タイトルを獲るとか、侍ジャパンの四番を打つとかまでは想像できませんでした」
2016年から5年連続でベストナインに選ばれ、2019年に首位打者を獲得するなど、日本を代表する選手になった。2017年の第4回WBC、2019年の第2回WBCSプレミア12も経験した日本の主砲は、2021年の東京五輪で金メダル獲得に貢献した。
鈴木のプロでの活躍が、後輩たちに強い影響を与えたと市原は言う。
「2014年の夏、誠也の2年後輩の選手たちが夏の甲子園出場を果たしました。彼らは誠也がプロ野球の一軍でプレーするのを見て『よし、俺たちも!』と思ったはずです。勇気と自信をくれました」
東東京大会の決勝戦で10回も苦杯をなめた二松学舎大付は、2014年以降、甲子園常連校となった。
カープで、侍ジャパンで着実に実績を残す鈴木に、恩師は何を望むのか?
「コロナ禍で行なわれた東京五輪に出たことで得られたものもあるでしょう。いい勉強になったはずです。長く野球を続けるためには、人間性は大事だと思います。グラウンドのことだけではなく、いろいろな部分を磨いてほしい」
鈴木の打撃成績が注目されるとともに、彼の「野球に対する取り組み方」が今後、もっと評価されることになるだろう。
(※この記事は『Sportiva TOKYO 2020 オリンピック 総集編』【集英社/2021年8月23日発売】に掲載された記事に、加筆・修正を加えて再構成したものです)
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