注目のデータから読み解くセンバツ大会の行方。上位進出校、ダークホースはここだ!

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • photo by Taguchi Yukihito

 大勢の観客に見守られ、ブラスバンドの応援を背に球児たちが躍動する----。3月18日に開幕する第94回選抜高校野球は、上限2万人の有観客に加え、アルプス席でのブラスバンドによる応援が認められた。完全にとはいかないが、新型コロナウイルス感染拡大以前に近い甲子園が戻ってくる。

昨年秋の神宮大会で2本塁打を放った大阪桐蔭の松尾汐恩昨年秋の神宮大会で2本塁打を放った大阪桐蔭の松尾汐恩この記事に関連する写真を見る

優勝候補筆頭はやはり...

 都道府県大会を勝ち上がって甲子園にたどりつく夏とは異なり、地区大会や明治神宮大会など他の都道府県のチームとも戦うのが秋。試合数も多く、豊富なデータが集まるため、数字からチーム力をはかることができる。

 そのなかで、筆者が重視するのがBB/K、OPS、K/BBの3項目である。近年の甲子園優勝チーム、上位進出したチームを調べてみると、この3項目の数値がいい学校が多く、優勝を占ううえで見逃せないデータになっているからだ。

 BB/Kは打者の打席アプローチを評価する指標で、「四死球が選べて三振が少ない」選球眼とミート力を兼ね備えているかを表す。OPSは出塁率と長打力を足した数字で、打率や打点よりも打者の攻撃力を示しており、チーム得点との相関性が高い。K/BBは投手の指標で、数値が高い投手は奪三振が多く四死球が少ないため、投手としての完成度が高いと言える。

 この3項目すべてでトップ10入りしたのが木更津総合(BB/K=1位、OPS=6位、K/BB=1位)、大阪桐蔭(BB/K=8位、OPS=1位、K/BB=8位)、九州国際大付(BB/K=9位、OPS=5位、K/BB=2位)の3校。投打に力のあるこの3チームが優勝候補の一番手といえる。

 なかでも優勝候補筆頭に挙がるのが、昨秋の明治神宮大会王者の大阪桐蔭。神宮大会決勝で2本塁打を放った強打の捕手・松尾汐恩を中心にした打線は15試合で17本塁打を記録。打率は4割を超え(.407)、BB/K=1.71、OPS=1.084をマークした。藤原恭大(現・ロッテ)や根尾昂(現・中日)を擁して優勝した2018年はBB/K=1.75、OPS=1.050。ほぼ同じ数字で、打線はこの時と同等の力があるといえる。

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