王者陥落のピンチを救った大阪桐蔭の1年生左腕。「負けたことがない」男・前田悠伍とは何者だ?

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Kyodo News

 大阪大会から近畿大会と気持ちよさそうに投げ続ける前田に、「今は負ける感じはしない?」と向けると、前田はこう言った。

「絶対に打たれないとか、そんな変な自信は持ってないですけど、打たれないっていう気持ちは誰よりも持っていると思います。高校に入ってからは、練習試合でも自分が投げて負けたことはまだないです」

 コロナ禍の影響もあって実戦経験は多くないが、「負けたことがない」と聞くと、前田が負ける時はどんなピッチングなのだろうかと興味が湧いてきた。

 当初は、王者の牙城が崩れるかもと落ち着かない気持ちで見ていたが、気がつけば大阪桐蔭の負けを密かに楽しみにしているとは......。そんなねじれた期待を抱かせたのも、1年生サウスポー・前田の出現があったからこそである。

 全国舞台である神宮大会で、はたしてどんなピッチングを見せてくれるのか。どの程度投げるかはわからないが、各地区を勝ち上がってきた強豪相手に何を感じ、1年の戦いを終えるのだろうか。王者の危機を救った勝てる男のさらなる成長とともに、「また桐蔭か......」と見る者にため息をつかせる戦いはしばらく続きそうだ。

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