野球部の活動にSNSで問いかけ有効活用。大阪・公立進学高の指揮官は「本気で甲子園を目指す」

  • 沢井史●文・写真 text & photo by Sawai Fumi

 今年で創立111年を迎え、これまで春は2回、夏は1回の甲子園出場経歴がある寝屋川高校は、大阪府内では進学校としても名高い。

 その寝屋川高校の野球部の評判が一気に広まったのは、2018年春の府大会準々決勝だった。根尾昂(現・中日)や藤原恭大(現・ロッテ)らを擁し、のちに春夏連覇を成し遂げる大阪桐蔭を相手に大熱戦を繰り広げた。

 9回二死まで4対3とリードするなど王者を追い詰めたが、守備のミスで逆転を許し大金星はならなかった。強力打線を相手に快投を見せた当時エースの藤原涼太は神戸大に進み、1年からマウンドに立ち、今ではチームの主戦を務めるほどの存在となっている。

寝屋川高校を率いる同校OBの達大輔監督寝屋川高校を率いる同校OBの達大輔監督この記事に関連する写真を見る 寝屋川高校の練習環境は、いわゆる"普通の公立校"だ。校内の敷地にあるグラウンドはほかの部活と共用で、平日の練習時間は2時間程度。最近は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、その時間はさらに短くなっている。雨天練習場はなく、雨の日は校舎内の階段や空きスペースを活用しながら工夫に工夫を重ね、練習に励んでいる。

 同校のOBでもある達大輔監督は、とにかく熱血漢だ。何事も人一倍情熱を注ぎ込み、選手たちとも積極的に対話する。そして取材に行くたび、必ずこう口にする。

「本気で甲子園に行きたいと思ってやっています」

 大阪の高校野球は、大阪桐蔭を筆頭に、一昨年の夏に全国制覇を果たした履正社など、強豪私学がひしめく。甲子園はおろか、府大会で上位進出するだけでも容易なことではない。

 達監督は部内の情報を発信する掲示板を前任校から活用。広報活動の一環として、部の指針や日々の練習メニューなどを投稿してきた。寝屋川高校に赴任してからもOBに「やってみたら」と言われて再び開始。10年間で100万アクセスを数えるまでになった。

 だが近年は、SNSの普及により情報発信の方法も多様化。新たなツールがないかと考えた時に、浮かんだのがツイッターだった。昨年の新型コロナウイルス感染拡大の影響で、毎年多くの中学生や保護者を集めて行なっている学校説明会が中止になり、ツイッターは手軽な情報発信ツールとして活用していく意味があると考えた。

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