2021.08.29

ドラフト候補の陰に隠れて快打連発。3、4年後のプロ入りに期待がかかる3人の好打者

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

夏の甲子園で見つけた未来のドラフト候補たち〜野手編

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 古くは王貞治、長嶋茂雄のあとを打つ5番バッターがいまひとつ印象に残らなかったように、プロ注目の超高校級と評される打者のあとを打つ選手というのは、なぜか印象が薄い。「さすがにいいスイングするねぇ」「思ったより粗っぽいな」などと、"超高校級"に対する感想を語り合っているうちに、次の打者が終わってしまっている......というのも大きな理由だそうだ。

 智辯学園の前川右京が、この夏の甲子園で精度の高いバッティングを披露して、プロスカウトの評価が変わってきたと聞いた。タイミングを外されても、しっかり軸を残して打てる融通性は、これまでの長打力とは対極の新たな持ち味である。

智辯学園の不動の4番・山下陽輔智辯学園の不動の4番・山下陽輔 この記事に関連する写真を見る  その前川のあとを打つ山下陽輔(3年/三塁手/右投右打)が、じつにいい仕事をする。この春のセンバツの時からそうだった。前川を打ちとり、ホッとした投手の心理を読みきったように、甘いコースに入ってくるボールを気負いすぎることなく、確実にミートしてくる。しかも、当てるだけのバッティングじゃないから長打になる。

 しっかりボールを呼び込んで渾身のスイングでレフトオーバーを放つこともあれば、アウトコースの変化球に体勢を崩されながらも、とっさに右手を押し込んでライトへ弾きかえすこともできる。いくつものスイングバリエーションを持っているのが、山下の最大の特長である。

 相手バッテリーにしてみれば、「うしろに山下がいるから......」と前川と勝負せざるを得ない状況をつくられ、それがボディブローのようにジワジワと効いてくる。こういう打者がいるチームは強い。

 高校では前川のあとを打つ強打者として名を馳せたが、次のステージは「主役」に躍り出るかもしれない。

 今大会もっとも注目を集めた投手は、県大会で157キロをマークしたノースアジア大明桜(秋田)のエース・風間球打だろう。その初戦の相手が帯広農業(北北海道)と知って、「大変なことにならなければいいが......」と余計な心配をしてしまった。

 帯広農は、昨年夏の甲子園交流試合で強打の健大高崎(群馬)を破ったとはいえ、失礼ながら打線に非力な印象があった。大会ナンバーワン投手と評される風間にどう立ち向かうのか、注目はその一点だった。