2021.03.28

「静」の天理と「動」の仙台育英。采配に表われる両監督のバックボーン

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

『特集:球春到来! センバツ開幕』

 3月19日、2年ぶりとなるセンバツ大会が開幕した。スポルティーバでは注目選手や話題のチームをはじめ、紫紺の優勝旗をかけた32校による甲子園での熱戦をリポート。スポルティーバ独自の視点で球児たちの活躍をお伝えする。

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天理の中村良二監督(左)と仙台育英の須江航監督(右) 監督の采配には、それまでの経験が色濃く反映されるものだ。

 1986年夏、天理高校3年の時に全国優勝を経験した中村良二が、母校の監督として甲子園に戻ってきたのは2017年(27年ぶりのベスト4進出)。以後、常に甲子園で上位を狙うチームを作ってきた。

 中村監督は自身の采配についてこう語る。

「僕がサインを出すのは、1試合に3回くらいじゃないでしょうか」

 もちろん、選手にすべてを任せ、ただ見ているだけではない。中村は、「これをしろ」ということよりも、「これはするな」というサインを出すことが多い。

「打順とか、相手のピッチャーの状況を見て、『待て』を出すことはありますね。また、生徒が中途半端な気持ちでいる時や、迷っていると感じた時には、『走れ』『バント』と伝えます」

 エースと主砲についても同様だ。監督が細かいアドバイスを送ることはない。

「4番の瀬千皓は、(3月25日の)健大高崎戦でタイムリーヒットを打ちましたが、僕は『狙い球を絞って打て』と言っただけ。どう絞るかは本人に任せました。彼には、いつも4番らしい立ち居振る舞いをするようにと話をしています。凡退した時でも、堂々としていてほしい。

 先発の達孝太が立ち上がりにコントロールに苦しんでいる時も、特に修正の指示は出していません。『投げ急ぐなよ、自分のペースで』と言ったくらいです」