市和歌山・松川虎生は「紀州のドカベン」。センバツ屈指の右腕を支える
『特集:球春到来! センバツ開幕』
3月19日、2年ぶりとなるセンバツ大会が開幕した。スポルティーバでは注目選手や話題のチームをはじめ、紫紺の優勝旗をかけた32校による甲子園での熱戦をリポート。スポルティーバ独自の視点で球児たちの活躍をお伝えする。
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今回のセンバツでナンバーワン投手との呼び声が高い小園健太(市和歌山)を取材していると、いつも最後に話題になるのが、女房役であり、チームの主将でもある松川虎生(こう)のことだ。
「いつも虎生が自分の投げやすい環境をつくってくれるんです。キャッチングもうまいし、間合いの取り方も......自分に合っていると思います」
プロ注目の強肩・強打の捕手、市和歌山の松川虎生 半田真一監督も、松川の存在の大きさを認めている。
「小園があれだけ投げられるのは、松川の存在があってこそ。小園を大きく取り上げてもらえるのはありがたいですが、もっと松川も注目されていいと思います」
松川の現在の体重は98キロ(身長は178センチ)だが、中学時代は3ケタの時期もあったという。大柄でやや強面な雰囲気とは裏腹に、性格はじつに穏やか。チームをまとめる主将であるが、声を荒げたことはなく、どちらかといえば"いじられキャラ"だ。
小園と松川が初めてバッテリーを組んだのは、貝塚ヤングに所属していた中学1年の時。松川がスタメンマスクを被っていた試合で、先発投手が降板し、急遽、小園がマウンドに上がることになった。小園が記念すべき初バッテリーの時を振り返る。
「何がどうだったかとかは覚えていないのですが、初めてでここまで投げやすいと感じたキャッチャーはいなかったです。なんというか......まず体が大きいので、的が広くて投げやすい。でもそれだけじゃなくて、間合いのタイミングやキャッチングなど、すごく自分に合うんです」
すでに知られている話だが、小園を市和歌山に誘ったのも松川だ。先に松川が市和歌山への進学を決めていたが、小園は私学の強豪校か、それとも市和歌山に進むのかで迷っていた。「一緒にバッテリーを組んで、甲子園を目指そう」という松川の誘いにより、小園は市和歌山への進学を決断した。
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