甲子園を沸かせた右腕がどん底からV字回復。プロ2軍相手にも好投→ドラフト戦線へ
アマチュア野球選手のパフォーマンスは、山の天気のようなものだ。
つい先ほどまで青空が広がっていたかと思えば、いつの間にか厚い雲が現れ土砂降りの大雨になる。不安定だからこそ目が離せず、不安定だからこそ夢がある。
法政大のドラフト候補右腕・三浦銀二の大学野球生活も、後にそのように総括される日がくるかもしれない。
最速150キロを誇る法政大・三浦銀二── 昨年は自分自身の投球にフラストレーションがたまったのでは?
そう尋ねると、三浦は苦笑ぎみにうなずき、こう答えた。
「そうですね。でも、いい経験になりました。こうなればこういう球がいく、というのがわかったので。それは収穫でした」
高校時代の実績は文句なしだった。福岡大大濠に所属し、古賀悠斗(現・中央大)とのバッテリーで明治神宮大会ベスト4、春のセンバツベスト8に進出。侍ジャパンU−18代表入りも果たしている。
法政大では1年春から登板し、最速150キロを計測。高校時代よりも力強く、うなりをあげる快速球は名門大学でも一際目を引いた。身長175センチ、体重80キロと投手としては小柄な部類に入るが、グラブを高々と掲げるワインドアップモーションはマウンドで強烈な存在感を放った。1年秋には早くもエース格となり、3勝1敗、防御率1.99の成績でリーグ優勝に大きく貢献している。
だが、この時期を境に三浦の成績は下降線を辿っていく。
とくに昨秋の三浦は状態を大きく落としていた。4試合にリリーフ登板して防御率2.70と数字上はさほど悪くないものの、投げるボールは本来の迫力が失われていた。この調子が続けば、翌年のドラフト指名は厳しいと思わざるを得ない球威だった。
だが、三浦はどん底の状態からV字回復を見せている。
「ホームプレートをしっかり踏んでから、軸足(右足)でホーム方向に押すイメージを大切にしています。昨年は軸足がすぐ折れて、プレートを押せていなかったので」
軸足の使い方を変えたことで、本来のストレートを取り戻した。さらに左足の上げ方を「間(ま)をつくりたかった」と二段モーションに変えた。
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