2020.11.12

九州に今永昇太を彷彿とさせる左腕。
早くも来季ドラフト上位候補と評判

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

 隅田の投球フォームは、その力感のなさとバランスのよさが目につく。とくに右足を上げて、軸足一本で立つ姿が美しい。そんな印象を本人に伝えると、隅田は生き生きと持論を語り始めた。

「今永さん(昇太/DeNA)の立ち方がめっちゃきれいで、自分も立ち方を意識するようになったんです。反動をつけずに、その場でスッと立つようにしています。骨盤を立てると、力まなくても軸足にしっかりと体重が乗ることがわかりました」

 投球フォームのテーマは「力感」。いかにも体に力が入っていることが伝わる投手は、打者からするとタイミングが取りやすいもの。隅田はその逆を目指している。

「力感なくパッと投げて、ボールがビュンとくるほうがバッターは打ちづらいはずです。キャッチボールから『力感をなくそう』と意識しています」

 大学でスピードが伸びた要因は、「腰の回転」がポイントだったと隅田は語る。

「僕は重心を後ろに残して投げるタイプなんですけど、腰の回転がずっと遅かったんです。走り込みやトレーニングで体のキレがよくなって、腰の回転を意識したら『パン!』と速く回れるようになりました。力まずに立って、体重移動して、最後に腰の回転だけ意識しています」

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 変化球は得意のカットボールにチェンジアップ、フォークを交える。球種や投球スタイルが近い今永を目標にして、自身の技術を磨いている。

 すでに強豪社会人から何社も誘いを受けたがすべて断り、進路をプロ一本に絞っている。隅田はこともなげにこう語った。

「プロに行けなかったら野球から離れるくらいの覚悟がないと、プロに行けたとしても活躍できないと思います。自分に甘えが出ないようにしています」

 学業面ではすでに9割方の単位を取得し、野球に集中できる状況を自らつくり上げた。だが、1年後のドラフトの前にどうしても行ってみたい場所があると隅田は言う。

「まず神宮球場に行きたいです。どこの大学よりも練習している自信はあるので、あとは公式戦で力が出せるかどうか。この仲間たちと一緒に神宮でやりたいんです」