ドラフト指名漏れから2年。愛知の快腕・栗林は社会人No.1投手に成長した

  • 大友良行●文 text by Ohtomo Yoshiyuki
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

「あの時は悔しいというよりも、自分を支えてくれていた周りの人たちに申し訳ないという気持ちでいっぱいでした」

 当時、名城大のエースで大学日本代表にも選ばれた実績を持つ栗林良吏(トヨタ自動車)は、2年前のドラフトで指名漏れを味わった。

社会人No.1投手と評されるトヨタ自動車の栗林良吏社会人No.1投手と評されるトヨタ自動車の栗林良吏 ドラフト前の予想では指名確実と言われ、当日は大学が用意した記者会見場で名前が呼ばれるのを待つだけだった。

「関係者や後輩たちが指名を待ってくれていたのに......最後まで名前を呼ばれることなく、無駄な時間を費やすことになり、本当に申し訳なかったです」

 あれから2年が過ぎ、今年のドラフトでの栗林の評価は当時とはまったく違う。即戦力投手として社会人No.1投手に挙げられ、1位指名は確実と言われている。

 トヨタ自動車は東海地区第1代表として都市対抗の出場を決めており、代表決定後は約1週間のリフレッシュ休暇が与えられた。

「とくにどこかに行ったわけではありませんが、実家と中学時代のクラブチームにはあいさつに行きました。母校(名城大)の試合も見たかったのですが、無観客で行なわれていたため、観戦できませんでした」

 10月12日から練習を再開したが、まだ本格的に投げていない。それでもブルペンで投げられる状態にはあるという。

 都市対抗予選で栗林は2試合に登板。東邦ガス戦では7回を投げ、2安打無失点10奪三振と圧巻のピッチングを披露。代表決定戦のホンダ鈴鹿戦は本調子ではなかったが、それでも9回1失点に抑えて本戦出場に大きく貢献した。

「コロナ禍で練習も満足にできず、なかなか結果を出せないうちに予選を迎えてしまって......それでも東邦ガス戦はベストコンディションでした。ホンダ鈴鹿戦は打線が点を取ってくれたおかげで、悪いなりに9回まで投げることができました」

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