2020.10.01

東北のドラフト候補右腕は元遊撃手。
国際派監督「こんなに伸びた子は初めて」

  • 高木遊●文 text by Takagi Yu
  • photo by Takagi Yu

大学野球のドラフト「隠し玉」>>

 山形県酒田市にある東北公益文科大。2001年に開学した若い大学だが、ここにプロ注目の本格派右腕がいる。同大学初のプロ野球選手誕生に大きな期待を寄せられているのが、赤上優人(あかがみ・ゆうと)だ。

最速153キロを誇る東北公益文科大の赤上優人 東北公益文科大野球部の全国大会出場はなし。そんな無名の新興野球部で最も豊富な実績を誇るのが横田謙人監督、50歳である。

 横田監督は湘南で生まれ、小学生の時にアメリカ・サンタモニカに移り住み、大学まで過ごした。帰国後は社会人野球のローソンでプレー。指導者としては羽黒高校の監督として2004年の明治神宮大会でベスト4進出、2005年春のセンバツ大会にも出場し、山形県勢初の4強に導いた。

 2013年から現職となり、山形の大学として初の全国大会出場とNPB選手輩出を目指している。

 アメリカでの生活が長かったためか、練習メニューはすべて英語。「プリゲ」「メッジ」といった言葉が自然と選手たちから出る。ちなみに、「プリゲ」はプリゲームのことでシートノック、「メッジ」はスクリメージのことで紅白戦を意味する。

 神奈川・瀬谷高校からやってきた齊藤虎太朗主務によると、新入生はまずこれらの用語を覚えることから始めるという。

 鮮やかなオレンジとホワイトのツートンカラーのユニフォームは、横田監督がファンであるNFLのデンバー・ブロンコスを模している。

 そんな異色のチームに現れた本格派右腕・赤上だが、角館高校(秋田)時代は遊撃手。1年夏に甲子園に出場し、3年夏は主力として県大会準優勝。チームメイトにプロ注目の投手・小木田敦也(現・TDK)がいたこともあり、中学時代までやっていた投手に重きを置かなかった。

 大学でも遊撃手として入部した赤上だったが、横田監督が強肩を見込んで投手に転向させた。すると、球速はいきなり140キロを超え、ブランクを感じさせないピッチングを見せる。もともと内野手だっただけに「ピッチャーインフィールド(投内連携)やけん制はうまいです」と横田監督は言う。そんな赤上を下級生時から我慢強く起用し続けてきた。