2020.09.01

「こんな選手いたのか!」。
高校生トライアウトで見つけた掘り出しもの

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

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 こんな選手がいたのか......。見ていて興奮を抑えきれなかった。

 初の試みとなったプロ志望高校生合同練習会。西日本会場は8月29、30日に甲子園球場で開かれた。バックネット裏には29日に83名、30日には96名のNPBスカウトがソーシャルディスタンスを保って座っていた。どんなプロ注目の逸材であっても、ここまで多くのスカウトに見てもらえる機会は他に甲子園大会くらいだろう。

 事実上のトライアウトに挑んだ選手のなかには、驚きのパフォーマンスを見せた「掘り出しもの」が何人もいた。

トライアウトで存在感を示した広島商の寺本聖一 初日の29日、もっとも存在感を放ったのは広島商の右翼手・寺本聖一だった。シートノックでは馬力を感じさせる力強いスローイングを披露し、フリーバッティングでは全身を振り絞るような打撃でサク越え弾を放つなど、長打性の当たりを連発した。

 そしてほかの参加者が打撃をする間にグラブをはめてライトのポジションに入ると、「ライト〜! ライト〜!」「もういっこ、もういっこ!」と大声を出していた。まるで日頃の練習中のように、のびのびと野球を楽しんでいた。

 広島商の荒谷忠勝監督に電話で寺本の活躍ぶりを報告すると、苦笑した監督から「あいつは野球小僧ですからね」という反応が返ってきた。

「今どきの高校生はスカして野球をする子が多いなかで、寺本は珍しいです。他の子からしたら『なんやこいつ?』と思うでしょうから、浮いとったんやないですか。でも、声でもなんでもできることをアピールしてくれたのはよかったです」

 広島商は今夏の広島独自大会で優勝しており、昨夏の甲子園出場と合わせて広島連覇を成し遂げている。寺本は今夏、1番打者として2本塁打を放つなど優勝に大きく貢献した。

 小さな体でもスイングに腰が入っており、飛距離を伸ばせるのが魅力だ。荒谷監督は「もともと振る力はあったけど、粗かった」と振り返る。昨夏は広島大会のベンチ入り20人のメンバーには入っていたものの、甲子園では18人のベンチ入りメンバーから漏れている。