埼玉に高校通算50発の好素材がいる。快速サイドハンドも将来性抜群

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

◆当事者が語る「高校野球史上最大の大誤審」>>

スポルティーバ厳選! 
高校野球 47都道府県の注目選手
埼玉編

 新型コロナウイルスの影響により毎年夏に甲子園で開催される「全国高等学校野球選手権大会」が中止となり、その代わりに、各都道府県は独自の代替大会を開催。埼玉はもっとも遅く、8月8日に「令和2年度 夏季埼玉県高等学校野球大会」が開幕。白熱の激戦が期待されるなか、注目の選手たちを紹介したい。

1年夏からレギュラーとして活躍する花咲徳栄の井上朋也1年夏からレギュラーとして活躍する花咲徳栄の井上朋也 今回、埼玉の独自大会は県内を東西南北4つの地区に分けて、それぞれ勝ち上がった4チームで準決勝、決勝を戦う。

 まず「南部」の注目は、浦和学院の最速148キロの快速サイドハンド・美又王寿(みまた・おうじゅ)。飯塚ボーイズ(福岡)時代に全国制覇を達成するなど、将来を嘱望されて入学。1年夏に早くも甲子園のマウンドに立つなど、順調に経験を積んできた。

 美又の最大の武器は、かなりクセのあるストレート。とくに右打者の懐を抉(えぐ)るボールは、高校生で打ち崩すのは困難だ。さらにカットボール、チェンジアップがいい緩急になって、ストレートの威力を倍増させている。マウンド度胸もよく、この先の伸びしろにも期待したい。

 182センチ、82キロ、見るからに屈強そうな体躯から豪快に投げ下ろす埼玉栄の内田了介は、今春140キロ台後半まで球速がアップ。基本的にはストレートで押すタイプだが、縦、横のスライダーにフォークなど、変化球も多彩で幅のあるピッチングが特長だ。

 内田は打ってもチームの4番を担い、身体能力抜群のリードオフマン・加藤真浩らとともに厚みのある攻撃を見せる。

 大宮東は強打と高精度のフィールディングを兼備した遊撃手の佐藤亮太と、長打力のある右打ちの外野手・大河原凱を中心に強力打線を形成する。

 ストレートの質では、間違いなく県下ナンバーワンを誇る浦和実の豆田泰志。昨年春の関東大会で全国レベルの強力打線を誇る山梨学院から7回11奪三振の好投で勝利。夏は浦和学院を徹底した内角攻めで2安打完封。

 オーバーハンドでありながら、アンダースロー投手のようなホップする軌道に見えるのはボールに伸びがあるため。とくに低めの伸びがすばらしく、打者からすればワンバウンドかと思ったボールが低めいっぱいに決まるため、慣れるのにかなりの時間を要するだろう。

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