甲子園中止で語り継がれる「悲劇の世代」。世代屈指の好投手が進路の悩みを激白 (5ページ目)

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 全国の舞台でやれる自信はあった。しかし、自信を確信に変えるには、甲子園での結果がほしかった。17歳の少年が将来のことについて決断するには、やはり客観的な判断材料が必要だったのだ。

 あと少しすれば愛知県の代替大会が開催され、8月には1試合のみだが甲子園で試合もできる。高橋は前を向く材料を見つけていた。

「仲間にずっと会えず、その大切さに気づくことができました。今は甲子園を目指せる1、2年生に積極的に声をかけてアドバイスしたり、チームのみんなとコミュニケーションを取ってやっています。まだ高校野球は終わりじゃない。最後までやりきりたい。

 個人的にはまだ中止が決まっていない侍ジャパン(U18)を目標にして取り組んでいます。甲子園中止はショックでしたが、今のこの気持ちは自分たちにしかわからない。この特別な気持ちは、今後の糧にするしかない」

 今後も語り継がれるであろう"悲劇の世代"。その世代を代表する右腕が、2020年を忘れられない夏にする。

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