甲子園中止で語り継がれる「悲劇の世代」。世代屈指の好投手が進路の悩みを激白 (4ページ目)

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 まだ打者に投げ始めたばかりの段階ではあるが、すでに新フォームに手応えを感じている。

「一番はストレートで空振りを取れるようになったこと。それと変化球でも腕が振れるようになりました。ストライクが取れる緩いボールがほしくて、神宮大会では投げていなかったカーブも投げています。(休校期間中は自分を見直す)いい機会になりました。実力は確実に上がったと思います」

 これから実戦感覚を取り戻していけば、いい状態に仕上がりそうな手応えはある。本来なら、万全の状態で集大成である最後の夏に臨むはずだった。8月にセンバツの代替大会である「2020年甲子園高校野球交流試合」が甲子園で開催されるが、日本一を目指す大会ではない。

 この年代で屈指の好投手としてプロスカウトから注目を集める高橋だが、現時点では大学進学に傾いているという。もし、センバツで優勝投手になっていたら......。優勝ではなくとも、甲子園である程度の結果を残していれば、プロを希望していたのではないか......そう尋ねると、高橋はうなずいた。

「(甲子園があれば)全国の舞台で自分がどれだけ通用するのか測れたと思うんです。それがなくなった時に、自分がプロにいってどうなるんだと思うと......自信が持てない部分があります。(甲子園がなくなったのは)進路に大きく影響したと思います」

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