2020.06.01

甲子園で菊池雄星と大瀬良大地が激闘。
投手戦から一転、予想外の結末

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

こんな対決あったのか!
高校野球レア勝負@甲子園
第1回2009年夏
菊池雄星(花巻東)×大瀬良大地(長崎日大)

「おまえなら、どの球が打てそうだ?」

 超高校級の152キロ左腕・花巻東の菊池雄星(現・マリナーズ)と対戦するにあたり、長崎日大の金城孝夫監督(当時)は試合前日のミーティングで選手たち一人ひとりにこう問うた。

「菊池のベストボールが来たら、とてもじゃないけど打てない。20個三振取られてもいい。その代わり、21三振の大会記録(当時)だけはやめてくれよと言ったんです」(金城監督)

長崎日大打線に3本塁打を浴びるなど苦しんだ花巻東・菊池雄星 長崎大会でセンバツ優勝投手の清峰・今村猛(現・広島)を破って、夏の甲子園に駒を進めた長崎日大は、センバツ準優勝の花巻東との対戦が決まってから、菊池のビデオを何度も繰り返し見た。

 練習では140キロを投げる大学生左腕に打撃投手を依頼するなど、きっちり対策も行なった。それでもなお、金城監督には”菊池攻略”のイメージが湧かなかった。そこで、冒頭にあったように選手たちに聞いたのだ。

「アウトコースのストレートを打ちたい」という選手もいれば、「インコースのストレートを狙いたい」という選手もいた。

「同じ球種でも狙いが違うわけです。どのボールなら打てそうとか、嫌だというのは、ずれて当たり前です。バッターの特徴もあるし、それは修正しません。本人の思うことが一番正しいんじゃないかと」

 そのうえで、金城監督は選手たちにこう指示した。

「よし、わかった。それ以外のボールには見向きもするな。見逃し三振でもいい。その代わり、自分が狙ったボールが来たら『やったー』と目をつぶるぐらい思い切って振れ」