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甲子園で菊池雄星と大瀬良大地が激闘。
投手戦から一転、予想外の結末 (2ページ目)

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

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 そして試合当日、選手たちはミーティングどおりに実行した。自分の狙い球だけをフルスイング。すると、金城監督が想像もしていなかった快音が響く。

 2回に7番の山田慎之介がレフトスタンドに叩き込むと、6回には左打者の4番・本多晃希が140キロの外角高めのストレートをレフトに運ぶ。さらに8回にも2番の小柳正樹が141キロのストレートを弾丸ライナーでレフトスタンドに持っていった。

 この小柳が打ったのは、普通なら手を出さないような内角低めのボール気味の球。試合前日に「ひざ元のストレートを打ちたいです」と話していたとおりの球だった。金城監督が選手たちに聞いた意図をこう説明してくれた。

「ああだ、こうだと普通の指示を出していたら、選手たちは絶対に打てないもんだと決めてかかるんです。でも、そのなかで打つことを期待する言葉を使わずに、何が打てそうかを聞く。そこからはもう暗示ですよね。『そのボールが来たら逃すな』だけだと、ほかのことを考えない。三流、四流のピッチャーだと何度も甘い球が来ますが、あのレベルの投手はほとんど打てないボールですから」

 菊池が1試合3本塁打を浴びたのは、野球人生で初めて。長崎日大は晴れの大舞台で、見事な"菊池攻略"をやってのけた。

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