松井秀喜に5敬遠。ヒールと呼ばれても
慕われる明徳・馬淵監督の素顔

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 しかし、「ガイジン部隊」と言われ続けた当事者が、傷ついていないはずがなかった。馬淵監督は高知大会で優勝した直後のインタビュー中、スタンドから「頼むから愛媛(馬淵監督の出身地)に帰ってください。もう満足したでしょう?」という声を浴びた経験もあるという。いきなりよく知りもしない記者に踏み込まれ、「野球留学生」という単語を使われれば、身構えるのも当然だった。

 私は馬淵監督に非礼を詫び、取材主旨を一から説明したうえで数時間後にようやく取材を許された。

「ラグビーの日本代表なんて、外国籍の選手がおっても『日本代表』ゆうて、みんな応援しとったけどね。ハーフの選手も、大坂なおみやケンブリッジ飛鳥やらが世界で活躍しとる。世界でそんな流れがあるのに、日本で『どこそこから明徳に来た』とか言ってるのは時代錯誤や」

 ひとしきり持論を語ると、馬淵監督はぽつりと「野球留学生っちゅう言葉が嫌いなんよ」と漏らした。

 馬淵監督の話を聞いたあと、チームスタッフにも話を聞かせてもらった。いずれも明徳義塾OBであり、馬淵監督の教え子である。彼らの話を聞いていくうちに、私は馬淵監督への見方が変わった。

 1982年生まれの内村英二郎コーチは熱っぽく語った。

「監督は僕にとっては監督であり、『オヤジ』なんです。明徳のファミリー感は全国を探してもどこにもないと思います」

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