2019.10.30

奥川恭伸が抜けても星稜は強い。
守より攻の強力打線で全国制覇を狙う

  • 楊順行●文 text by Yo Nobuyuki
  • photo by Yo Nobuyuki

 高く上がった打球がレフトポール際に伸びる、伸びる……入った。高校野球・秋季北信越大会決勝は、星稜と日本航空石川という石川県同士の対決となった。

 7-0と大きくリードした星稜は5回、一死満塁から4番で主将の内山壮真がホームランを放ち、リードをさらに広げた。これが高校通算27号となった内山は言う。

「フォアボールが3つ続いたあと、初球もボールだったので、真っすぐを狙っていました。ファウルにならなかったのは、左から右の風が押し戻してくれたおかげ。でも、まずまずの当たりだったと思います」

 星稜はこのあとも攻撃の手を緩めず、日本航空石川の4投手から4本のホームランを含む22安打、19得点。投げても先発した寺西成騎が6安打1失点と好投。19-1と圧勝し、4季連続優勝を決めた。

圧倒的な攻撃力で北信越大会を制した星稜ナイン ドラフトで指名された奥川恭伸(ヤクルト1位)と山瀬慎之助(巨人5位)のバッテリーで、今年夏の甲子園で準優勝を果たすなど、星稜はもう絶対的な”北陸の雄”と言っていい。

 ただ、甲子園決勝が行なわれたのは8月22日のこと。新チームが迎える秋季石川大会の初戦は9月8日と、わずか20日ほどしかなく「とにかく、実戦的な練習をするしかありませんでした」と林和成監督は振り返る。しかも、林監督自身は「もともと新チームのつくり方はうまくない」と自覚している。どうしても、旧チームと比較してしまうのだそうだ。

 だが新チームには、内山をはじめ、知田爽汰、今井秀輔、荻原吟哉、寺西など、甲子園経験者が多くいる。新チーム結成から公式戦までの間にこなした練習試合は4と極端に少ないが、「試合慣れしているのがこのチームの長所」(林監督)が言うように、少ない時間のなかでもやりくりしながらチームをつくり上げた。

 旧チームでショートだった内山を捕手に、今井は外野からファーストにコンバートした。だから、「ディフェンスはある程度目をつぶり、打ち勝つチームに」と腹をくくることができた。