2019.10.08

遊撃手の新時代を築く逸材。
京都国際・上野響平の守備はファンキーだ

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

 シートノックだけでも、いつまでも見ていたいと思わせるショートだった。

 京都国際高校の上野響平は身長172センチ、体重68キロの小兵ながら、10月17日のドラフト会議で指名が有力視されているショートである。

守備力の高さに定評があり、ドラフトでの指名が有力視されている京都国際の上野響平 次はどんな身のこなしを見せるのだろう。次はどんなグラブさばきをするのだろう。この打球にはどんな体勢から投げるのだろう……。ゴロ処理のバリエーションが豊富だから、見ているだけで胸が踊る。そんな感想を隣で見ていた小牧憲継監督に伝えると、「そうでしょう!」と言わんばかりの笑顔でこう答えた。

「ジャンピングスロー、ランニングスロー、逆シングルとアクロバティックな動きもバンバンできます。肩を強くするためにブルペンでピッチングをしたら、142~143キロは出しますから」

 そして小牧監督は、上野への称賛をこんな言葉で結んだ。

「なかなかファンキーなやつですよ」

 今夏、京都国際は春夏通じて初めての甲子園出場をかけて京都大会決勝に臨んだが、立命館宇治に2対3で敗れた。

 もし、京都国際が甲子園に出場して上野の守備力の高さが周知されていれば、侍ジャパンU-18代表にも加わっていたのではないか。今回の代表はショートが本職の選手が6人も選出されたことで物議を醸したが、それでも上野の守備は突出している。

 上野の長所は、ただ派手なプレーができるだけではない。小牧監督が言うアクロバティックなプレーにしても、確かな技術に裏打ちされているのだ。自身も内野手だった小牧監督は、貝塚シニア(大阪)時代の上野の姿に「ボール回しを1球見て、『これや!』と思いました」と一目惚れしたという。

 上野のフィールディングに目を凝らしても、捕球前後の手の動きが速すぎて肉眼で追えない。MLBでショートとしてゴールドグラブ賞を11回も受賞したオマー・ビスケル(元インディアンズほか)は、キャッチボールをする際に捕球前後で両手をクロスさせるように動かし、一瞬で捕球と握り換えを完了する。上野の握り換えの動作にも、同様の達人技を感じるのだ。