2019.09.26

スカウトが来年のU-18代表かと熱視線。
静岡の快速左腕の評判がよい

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

 お目当ての選手のキャッチボールを見るために一塁側スタンドに移動すると、そこに顔なじみのNPB球団のスカウトがいた。

「まだ来年の選手ですけどね。でも、次世代のU18代表の左投手候補になるんじゃないですか」

 スカウトはそう言うと、目線を右中間付近の芝生でキャッチボールをするサウスポーに送った。投手の名前は、高田琢登(たくと/静岡商)。甲子園未出場ながら、その評判は早くもじわじわと広まりつつある。

 身長177センチ、体重72キロ。軽いキャッチボールでも、リリースの瞬間にパチンとボールを弾く音が聞こえてきそうだ。

今年夏、静岡大会2回戦の御殿場西戦で16奪三振を記録した静岡商・高田琢登 この日は秋季静岡県大会の準決勝。前日の準々決勝・浜松西戦に先発し、7回を投げた高田は準決勝の先発マウンドにも立った。勝てば東海大会出場が決まる大一番、相手は優勝候補の静岡を破って勝ち上がってきた加藤学園である。高田は連投の疲れを感じさせない投球を披露した。

 バランスのいいフォームから回転のいいストレートを投げ込み、次々と空振りを奪う。捕手の對馬勇斗(つしま・ゆうと)によると、高田のストレートは「低めが垂れずに伸びてくるので、球審にストライクを取ってもらいやすい」と言う。

 2回には先頭打者にフェンス直撃の三塁打を許したが、そこからエンジン全開。詰まったセカンドフライと2者連続空振り三振でピンチを切り抜けた。三振はいずれも142キロを計測。自己最速は146キロとのことだが、球速表示以上に威力を感じるストレートだった。

 1回と7回には自らのバットで得点を叩き出し、2対0。このまま東海大会進出を決めると思われた8回裏、落とし穴が待っていた。二死一、二塁のピンチで加藤学園の3番・大村善将に甘いストレートをとらえられ、レフトスタンドに飛び込む逆転3ランホームランを浴びたのだ。この一打で試合をひっくり返された静岡商は試合に敗れ、28日の3位決定戦(聖隷クリストファー戦)に回ることになった。