BC屈指の強打者がドラフト指名に強気
「NPBの1軍でも打てます」
この打者のスイングを見るたびに、ふっと笑いがこぼれてしまう。
BCリーグ・群馬ダイヤモンドペガサスの速水隆成(はやみず・たかなり)のことだ。今年で独立リーグ4年目、22歳の大型スラッガーである。
身長189センチ、体重102キロの巨体。打席に入るとバットを右肩に担いで、悠然とオープンスタンスで構える。ボールを見定め、腰がねじ切れんばかりに振り抜いたバットは雄大な軌跡を描く。芯に当たればどこまでも飛んでいきそう......そう思わせる、魅惑の大砲なのだ。
BCリーグ・群馬ダイヤモンドペガサスのスラッガー・速水隆成 9月19日、20日にジャイアンツ球場で行なわれたBCリーグ選抜対巨人三軍の交流戦で、速水は2試合とも4番打者として出場した。
第1戦では、右中間フェンスを直撃するタイムリー二塁打を放つなど4打数3安打2打点の活躍。第2戦は2三振に加えて頭部に死球を受けるなど見せ場はなく、3打数0安打1打点。それでも、試合後には「ヘルメットが割れちゃいました。見ます?」と表情は明るかった。
「今日は『見せてやろう』としすぎて三振してしまいましたけど、昨日は打てたのでいいアピールができたと思います」
桐生第一(群馬)では2年春にセンバツ甲子園に出場したが、エースで4番打者の山田知輝(東洋大)ばかりが注目され、速水は目立つ存在ではなかった。当時から身長は188センチと高かったが、体重は今より20キロ以上も少なかった。得意なプレーは送りバントと進塁打の右打ち。当時のことを速水に聞くと、苦笑を浮かべながら自虐的にこう答えた。
「山田が4番で、僕が5番だった試合もあるんですけど、だいたい山田が出塁して、僕がバントで送ったり、ヒットエンドランで右打ちしたりしていました」
高校3年の夏は相手チームが左投手の場合にファーストで先発し、右投手の場合は先発を外れた。高校通算13本塁打を放ったとはいえ、ベンチからの信頼が厚いとは言えなかった。
「高校時代は何も考えずにやっていました。練習時間は長いのでこなすだけで精一杯で、言われたことをなんとなくやっていました」
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