ぽっちゃりスラッガーの系譜を継ぐか。その候補が社会人野球に2人いる (2ページ目)

  • 楊順行●文 text by Yo Nobuyuki
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

プロも注目する右の長距離砲、パナソニックの片山勢三プロも注目する右の長距離砲、パナソニックの片山勢三 そして、もうひとりがパナソニックの片山勢三。こちらは正真正銘のドラフト候補だ。

「(門司学園)高校時代は、ドカベン2世と言われていました。実際、高校の監督と香川(伸行)さんが知り合いで、練習を見に来てくれたこともありました」

 片山は甲子園出場経験こそないが、高校通算32本塁打を放ち、名門・九州共立大に進学。リーグ戦では2度の本塁打王を含め、通算14本塁打を記録。大学4年で出場した神宮大会でも2本塁打を放った。

 パナソニック入りした昨年は、春先から4番に定着したが、都市対抗の近畿予選で不振に陥った。だが、スタメンから外れた都市対抗本戦で代打本塁打。それがきっかけとなり持ち前の打棒が復活。昨シーズンの公式戦で6本塁打、打率.414をマークし、目標だったベストナイン(指名打者)を獲得した。

 社会人野球の門司鉄道局(現JR九州)でプレーした今村隆行氏を祖父に持ち、少年時代はよく打撃の手ほどきを受けた。そんな祖父の影響もあり、社会人野球の世界に飛び込んだが、1シーズンを過ごし、手応えを感じたことで欲が出た。

「目指すのはドラフト上位指名。ただそれには、守備が課題ですね」

 たしかに、いかに長距離砲であっても指名打者専門ではプロの需要は低い。今シーズンはサードの挑戦から始まったが、試行錯誤しながら今は一塁に落ち着いた。高校時代は捕手だったため、ショートバウンドの処理には自信があるが、「守備に神経を使ってしまい、シーズン当初は不振でした」と、都市対抗予選では指定席だった4番の座を譲った。

 やがて、守備にも慣れ自信を掴むと、打棒も復活。今年の都市対抗では4番に座り、ホームランこそ出なかったもののチームをベスト8へと導いた。

「山川さんや中村さんの存在は、プロを目指すうえで励みになります。参考にしているのは、ガーンといく山川さんより、中村さんの柔らかさですね。あの右手の使い方、力まないスイングが理想です」

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