斉藤和巳が「球数制限」に言及。「佐々木朗希の立場なら...」も考えた (2ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Kyodo News

――斉藤さんが高校に入学した時に182cmだった身長は、卒業時には188cmに。プロに入ってからも背が伸びたんですよね? 

斉藤 22歳くらいまでにさらに4cm伸びて、192cmになりました。プロ入り後、病院でレントゲンを撮った時、「まだ成長途中だから、気をつけて投げるように」と医師の方に言われたのを覚えています。

――1995年ドラフト1位で福岡ダイエーホークス(現ソフトバンク)から1位指名を受けた斉藤さんは、プロ1年目は二軍でも登板なし。3年目のオフに肩の手術を行ないました。

斉藤 今のスポーツ医学から考えれば、それほど難しい手術ではありませんでした。でも、その頃の野球界では「ピッチャーが体にメスを入れるなんて......」と言われていて、僕には知らされませんでしたが、元通りに投げられるようになるかどうかは五分五分という症状だったそうです。

――その肩の手術、リハビリを経て、2000年にプロ初勝利を飾り、2002年には先発ローテーション入り。2003年に20勝を挙げたあと、7割を超える勝率を誇る「負けないエース」になりましたね。

斉藤 手術とリハビリを経験したことで、体の構造を知ることができました。「今、疲労が溜まっているな」とか、「このまま投げ続けるとヤバイな」というのがわかるようになりましたね。

――斉藤さんの特長でもあり"爆弾"でもあった「ルーズショルダー」とはどういうものですか?

斉藤 人よりも肩の関節が柔らかいんですが、それは武器でもあります。肩をしなやかに使うことができれば、ほかのピッチャーとは違うボールを投げることができますから。でも、故障しやすいという側面もあって。肩の筋肉の強度を高めるトレーニングをして、常に関節のバランスを保つようにしました。

――プロ野球シーズンは3月から11月までの長丁場ですから、ケアも大変だったのではないでしょうか。

斉藤 どれだけケアやトレーニングをしても、いつの間にか肩に負担がかかっていました。ボールは肩だけで投げるわけではありません。下半身の力を肩から指先に伝えて速いボールを投げるのですが、最終的に痛みは弱い箇所に出てきます。僕の場合は、それが肩だったということです。肩に負担がかからない投げ方もあるのでしょうが、僕にはできませんでした。

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