日本と違うアジアの高校野球。WBSC
U-18の注目選手を取り巻くすごい環境

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 8月30日から韓国・機張(キジャン)で開催される「第29 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」を目前に控え、隣国である韓国、台湾の高校球児たちも、日本に負けじと着々と調整中だ。

 とくに台湾は、前回優勝国であるアメリカの直前合宿地となった関係で、824日から練習試合が4試合組まれた。またホスト国である韓国は、8月24日まで全国大会が開催されていて、その熱気を持って大会に臨む。

 これまでアジアのライバルとして日本と切磋琢磨してきた両国だが、こと高校野球に関しては異なる点が多い。

  たとえば球数制限だ。近年、日本でもこの話題はいろいろなところで議論されているが、台湾では2010年から、韓国では昨年から導入されている。内容に若干の違いはあるが、いずれにしても投手のケガ防止対策として導入に踏み切った。

 そのほか、試合数や大会運営にも大きな違いがある。

 韓国は、かつては平日でも公式戦が組まれていたが、勉学軽視という声が上がり、現在は"週末リーグ"と称して、金、土、日の3日間でリーグ戦が行なわれている。リーグ戦は前・後期制を採用しており、4月から5月までの前期と、6月から7月までの後期に分けられている。

 もちろん、日本のようにトーナメント制の大会もある。以下が、韓国で開催されるトーナメント制の全国大会である。

黄金獅子旗杯(6月)

青龍旗杯(7月)

大韓野球協会会長旗杯(7月末~8月初旬)

大統領旗杯(8月)

鳳凰旗杯(8月)

 これとは別に地方主催の大会もあり、日本と比べて公式戦の試合数は圧倒的に多い。ただ近年は、有望選手がプロ入り前にトミー・ジョン手術を受けるなど、試合数の多さが懸念されている。

 余談だが、5つの全国大会のうち鳳凰旗杯は地方予選がなく、全校が出場するという大規模なもの。"韓国の甲子園大会"と呼ばれることもあるが、観客は日本と比べて驚くほど少ない。韓国の球界関係者によれば「卒業生や生徒の動員があれば1000人を超えることもあるが、通常は親族がほとんどで100200名程度」だそうだ。

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