2019.08.12

力を伸ばした北照の「最弱世代」が
甲子園でも成長。要因を監督が語る

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Kyodo News

 2016年8月、北照(南北海道)は『秋季北海道大会への出場を辞退する』と、道の高校野球連盟に届け出た。原因は部員による暴力や校則違反で、活動停止処分に。その期間が明けたあとの2017年1月に、長く同校野球部の部長を務めていた上林弘樹が監督に就任した。

 再出発した野球部は、2018年夏の南北海道大会を勝ち抜いて5年ぶりに甲子園出場を果たす。結果は初戦敗退(福岡の沖学園に2-4)だったが、今年も南北海道大会の決勝に進み、札幌国際情報との延長14回の接戦を制して(4-3)甲子園に戻ってきた。

夏の甲子園での初勝利を目指した北照の選手たち 悲願である”夏の甲子園での1勝”を目指す初戦の相手は、中京学院大中京(岐阜)。3年ぶり7度目の出場となる中京学院大中京は、岐阜大会決勝で甲子園常連校の大垣日大を逆転で下したチームで、予選6試合のチーム打率は.426を誇る。

 その強力打線に立ち向かったのが、北照の「エースで四番」の桃枝丈(もものえ・じょう)だ。

 5回まで0-0で進んだ試合の均衡を破ったのは、桃枝のバットだった。6回表ツーアウト一、三塁の場面で打席に立ち、センター前ヒットで1点を先取。投げてはその裏の攻撃をしのぎ、勝利まで残り3イニングとなった。6回まで被安打4と好投していた桃枝だったが、7回裏、上林監督がもっとも避けたかった「ビッグイニング」を許してしまう。

 中京学院大中京の九番・元謙太(げん・けんだい)がレフト前ヒットで出塁すると、ワンアウト後に二番・申原愛斗が左中間への二塁打を打ち同点に。桃枝はツーアウトまでこぎつけたが、四番・藤田健斗にレフト前ヒットを打たれ逆転を許した。続く五番・小田康一郎にもレフト前に運ばれ1-3。さらに三振振り逃げとライト前ヒットでもう1点を失った。

 北照は8回表に1点を返し、9回表にも八番・山崎昂大のセンターオーバーの二塁打で1点差に迫ったが、あと1本が出なかった。

 試合後、インタビューの場に立った上林監督は、開口一番こう言った。

「春の北海道の大会では支部予選で負けたチームが、よくやってくれました。桃枝もよく投げてくれた。勝たせてやれなかったのは僕の責任だと思っています」