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2度目の春夏連覇。大阪桐蔭、
西谷監督が語る「最強世代」の成長過程 (4ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 岡沢克郎●写真 photo by Okazawa Katsuro

「年々、寮や学校、グラウンドにいい風土ができてきたと思います。夜、寮に行くと、みんないないのでどうしたのかと思ったら、食堂でミーティングをやっていた。ほかにも、自然と空き時間にバットを振ったり、ストレッチをしたり......上級生の真似からかもしれないですけど、自分たちでこうしようという空気ができ、行動できるようになってきた。そこは頼もしく感じます」

 2018年の夏前、キャプテンの中川は次のように語っていた。

「去年のチームを思い返すと、まだまだやり切れていない、甘さがあった。そこを今年はもっと詰めていきたい」

 あのチームを見てまだそう言える中川に、どれだけ高い意識を持っているのか......と驚かされた。その話を西谷監督に伝えると、こんな答えが返ってきた。

「そこは去年出ていたから言えることで、ミーティングにも参加して意識も高くなったけど、結果として勝てなかった。いくらやっても負ける時は負けますが、なぜ負けたかということを突き詰めていかないと成長はない。そういう意識が強かったんでしょう。よく僕が言うのは『単純に前のチームのいいところは引き継いで、悪いところは消していこう。そうすればチームは絶対にプラスにいく』と。それをしっかり実践してくれたのが、中川の代のチームだったと思います」

 まさに"ニコイチ"でつかんだ2度目の春夏連覇だったのだ。

 そしてその後の大阪桐蔭はと言うと......新チームのなかに旧チームからのレギュラーはゼロ。完全にメンバーが入れ替わり、リーダーも不在。予定していた投手陣にも出遅れが続いた。それでも秋の大阪大会で準優勝を果たし、近畿大会もベスト8。よくぞここまでという部分と、粘り切れなかった脆さ。旧チームに比べると、実績、実力、経験......すべてにおいて劣っていると言わざるを得ない。

「冬に腰を据えて、本気で鍛えてまた頑張ります」

 西谷監督の言葉を待つまでもなく、チームが目指すのは2019年も変わらない。高校野球界の王者は、また高く険しい山を登り始めた。

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