阪神・鳥谷ら名手と同じグラブになる!
「究極のメンテナンス」とは? (2ページ目)
今では最終調整として行なうキャッチボールも、右投げでサラリとこなす。「左投げの注文の方が少ないので、型を付けるときは気を使いますね。でも、どちらもバッチリ仕上げますよ!」と力を込める。
型付けの際、荻野が念頭に置いているのが、「ユーザーが使い込んでいくなかで型が完成されていく」状態に仕上げることだ。久保田スラッガーには鳥谷敬(阪神)や本多雄一(ソフトバンク)らが使用するモデルもラインナップされており、それらを購入する顧客からは「本人と同じ型を付けてほしい」と要望されることも少なくない(選手使用のものは久保田スラッガー社の担当社員が型付けを行なっている)。その場合を例に、荻野が説明する。
「例えば、僕が型付けをしたサンプルと、(公式戦で久保田スラッガーを使用している)鳥谷敬内野手(阪神)のグラブを見比べていただくと、鳥谷選手のグラブの方が"開いている"ことがわかるかと思います。
お客さんから『鳥谷選手の型にしてください!』と注文をいただいたときに、僕がやるべきことは、同じような見た目に仕立てるのではなく、"将来的に"その型になるような仕込みと湯もみ型付けを施すことなんです。グラブを使っていくうちに、革や紐が伸びていくことで馴染んでいきます。そうすることで、使い手の"型"を完成したうえで、見た目も近づいていきます」
湯もみ型付けを施したグラブは、来店もしくは郵送で、定期的にメンテナンスを受け付けている。
「いい位置で捕球を繰り返しているお客さんのグラブだと、少しずつ広がっていって理想の型に近づいていっていることがわかります。革の擦れている部分を見て軌道修正したり、お渡しした後のメンテナンス、ヒアリングも大切にしています」
自身の歩みについて語り終えた荻野は、「読んでほしいものがあるんです」と、いくつかの新聞記事を取り出した。いずれも「野球人口の減少」について報じたものだ。
「スポーツ店を営んでいて、ひしひしと感じているのが『野球人口の減少』です。少子化の3倍の速さで進んでいると言われるだけあって、店の周辺でも明らかに野球少年が減っています」
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