最速148キロ、県大会2本塁打。創志学園のマルチプレーヤーは根尾昂級 (3ページ目)

  • 井上幸太●文・写真 text&photo by Inoue Kota

「マウンドに上がったときは、『投手として誰にも負けたくない』という気持ちで投げますが、それ以上に『任された場所で結果を出そう』という思いの方が強くあります。大会前、長澤(宏行)監督から『打撃で頑張ってくれ』と言葉をいただいたので、先ずは打席で結果を残せるようにやっていきたい」

 最速151キロを誇る剛腕・引地秀一郎と相対した準決勝・倉敷商戦では、捉えた当たりが正面をつくなど、無安打に終わったが、「引地くんの直球を押し込み切れなかった。タイミングは合わせられたので、そこを修正していきます」の言葉通り、決勝ではレフトスタンドに完璧な一発を叩き込んだ。

 岡山大会では未登板に終わったものの、「(投手としても)状態は悪くないです。チャンスがあれば」と語ったように、甲子園ではマウンドに上がる可能性もある。

 中山の適正、将来像について長澤監督に尋ねると、こう答えが返ってきた。

「チーム事情もあって、色々なポジションを守らせていますが、内野で勝負できると思っています。個人的にはサードがしっくりくる。似合うんじゃないかな、と感じますね」

 その見立てもあり、試合前のシートノックではサードに入った後、レフトに移動する。持ち前の強肩は、内外野どちらを守っても際立っていた。

 5試合で41得点を記録する猛打、わずか4失点の鉄壁の守りで岡山大会を制した創志学園。その実力、選手層から「創部史上最強」との声も少なくない。

 ここまでの報道を見ると、侍ジャパンU-18の一次候補にも選出されている2年生エースの西純矢、県新記録となる5試合連続本塁打を放った4番・金山昌平(しょうへい)に注目が集まっている印象だが、中山にも夏の主役に躍り出るポテンシャルは十分にある。

「任されたポジションで結果を出す。"全部を全力で"やりたい」

 こう意気込む"マルチプレーヤー"が、どんな姿で甲子園を沸かせるのか。前評判を上回る躍動に期待したい。

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