2018.08.01

甲子園の土を踏めなかった、
プロも注目する超高校級の逸材7人

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Kyodo News

 夏の甲子園100回大会の出場56校がすべて出揃った。大阪桐蔭や智弁和歌山など、おおむね”本命”に近い強豪校が居並んだように見えるが、およそ1カ月にわたる地方大会で、思わず「うわっ!」と声を上げてしまったことは、一度や二度ではない。「この選手を甲子園で見たかった」「全国のファンにこの選手だけは見てほしかった」という”逸材”たちの地方大会敗退を知ってしまった瞬間である。

 7月の高校野球は、実にむごい。連日、何十、何百というゲームが行なわれ、その試合の数だけチームが消えていく。3年生部員にとっては、それぞれの高校野球の幕引きをしなければならない。ルールとはいえ、高校球児たちがどうすることもできない”理不尽さ”を味わう季節なのかもしれない。

岡山大会準決勝で姿を消した倉敷商の引地秀一郎 この春のセンバツや昨年の春夏など、一度でも甲子園の土を踏んだ選手たちは、まだ幸せ者だと思う。その一方で、磨き上げたスキルを全国のファンの前で一度も披露することなく、高校野球に別れを告げた球児たちの無念さはいかばかりか。

 惜しくも地方大会で敗れ、一度も甲子園にたどり着けなかった逸材たちを紹介したい。

 個人的な話で申し訳ないが、学生時代に捕手をやっていたこともあり、夏の甲子園の大きな楽しみが、「魅力的なキャッチャー」との出会いだ。

 昨年は、広陵の中村奨成(現・広島)を筆頭に、大阪桐蔭には福井章吾(現・慶応大)がいて、日大山形には舟生大地(ふにゅう・だいち/現・日本大)、神戸国際大付には猪田和希(現・JFE東日本)など、将来性のあるキャッチャーが揃っていたが、今年の出場校を見渡すと、昨年ほどではないように思える。

 そんな中、あと一歩のところで甲子園出場を果たせなかったのが、千葉・成田の田宮裕涼(ゆあ/175センチ72キロ/右投左打)だ。

 守れて、走れるという意味では、”中村奨成タイプ”といえる。サイズは中村よりもひと回りコンパクトだが、ホップするように見える二塁送球は強いだけでなく、ベース上にきっちり決められる精度の高さを持つ。50m6秒ちょっとの快足を持ち、正面のゴロでもあわや”内野安打”と、相手にとっては脅威だ。