最速148キロ、県大会2本塁打。創志学園のマルチプレーヤーは根尾昂級

  • 井上幸太●文・写真 text&photo by Inoue Kota

 8月2日に組み合わせ抽選が行なわれ、出場56校による"激戦"の始まりへの期待が高まっている。栄えある100回大会の"注目度ナンバーワン"と言える存在が、春夏連覇を狙う大阪桐蔭(北大阪)だ。

 名だたるメンバーのなかでも、異彩を放っているのが、今秋のドラフト上位候補の呼び声高い根尾昂(あきら)。スタンドのどよめきを誘うフルスイング、躍動感溢れる内野守備、150キロに迫る速球で強気に攻める投球......。規格外のプレーの数々から、高校野球史に名を刻む"マルチプレーヤー"との呼び声も高く、今大会でも観衆の熱視線が注がれることは間違いない。

 そんななか、注目すべきマルチプレーヤーが"もうひとり"存在することをご存知だろうか。

この夏の岡山大会で2本塁打を放った創志学園の中山瞬この夏の岡山大会で2本塁打を放った創志学園の中山瞬 その選手の名は、中山瞬(しゅん)という。2年ぶりの夏出場を果たした創志学園(岡山)の中軸に座り、守りでは内外野をハイレベルにこなす。それだけでなく、最速148キロの直球と鋭く落ちるフォークを武器に、投手としてマウンドに上がることもある、中国地区屈指の"マルチプレーヤー"なのだ。

 180センチ、82キロのサイズは昨秋から大きく変わっていないものの、「中身が変わりました」と本人が語るように、ユニフォーム越しからも数字以上の"厚み"が伝わるようになった。

 中山を見てきたなかで、強く印象に残っている試合がある。奇(く)しくも今夏の岡山大会決勝の前哨戦となった、春季岡山大会準々決勝・岡山学芸館戦だ。

 この大会、中山の背番号は「7」。2年夏までは遊撃を中心に守っていたが、秋以降は投手としての出場が増えたため、登板しない場面では外野を守ることが多かった。「もう内野はやらないのかな......」と思っていると、7番を背負った中山が、颯爽とショートのポジションに現れた。

 公式戦では久々の内野守備だったが、柔らかなグラブ捌きは健在。本格派投手としても鳴らす強肩から繰り出すスローイングの迫力も増していた。試合途中からはマウンドに登り、力強い直球で押すピッチングも披露。試合後、それぞれのポジションで高質のパフォーマンスを見せた中山に話を聞くと、驚くような答えが返ってきた。

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