2019年のドラフトで争奪戦必至か。都市対抗で躍動した高卒2年目の逸材たち

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kyodo News

 連日、灼熱の屋外球場で夏の高校野球地方大会が繰り広げられていたころ、空調の効いた東京ドームではもう1つのアマチュア野球の祭典が開かれていた。それが第89回都市対抗野球大会だ。

 各企業、支援団体が威信をかけて大観衆を動員し、社会人選手が大げさではなく、死力を尽くして戦う晴れ舞台。アマチュア最高峰の戦いゆえレベルは高く、これまで数多くのプロ一流選手を輩出してきている。

 今夏の都市対抗で目立ったのは、高卒2年目の若武者の活躍だ。ついこの前まで高校球児だった19歳、20歳の若い才能が東京ドームで「俺を見てくれ!」と言わんばかりにプレーで自己主張してみせた。

都市対抗で度胸のいいピッチングを披露したJR東日本の西田光汰都市対抗で度胸のいいピッチングを披露したJR東日本の西田光汰 高卒社会人は3年在籍しないとNPBのドラフト指名対象にならないため、彼らがドラフト解禁になるのは早くても2019年。だが、早くもスカウト陣は若い才能に熱視線を送っている。

 今大会、若獅子賞(新人王)に輝いたのはJR東日本の太田龍だった。3試合に登板して、11回1/3を投げ無失点。結果だけを見れば立派だが、本人は「最後に投げた大阪ガス戦(4回1/3を投げて無失点)以外は自分の力を出せませんでした」と納得はしていない。

 身長190センチ、体重91キロの巨体は、マウンドに立つとさらに存在感を増す。二次予選では153キロをマークしたように豪速球が武器で、れいめい高(鹿児島)時代からドラフト候補だった。

「社会人に入って真っすぐが重くなりました。1年目は普通に打ち返されていたんですけど、今年のキャンプが終わって春くらいから試合でファウルを打たせられるようになってきて。都市対抗でも真っすぐでファウルが取れることを実感できました」

 入社したJR東日本は、絶えず好選手をプロに輩出することでプロ志望の有望選手が入社するサイクルができている。昨秋のドラフト1位で今季の新人王候補である田嶋大樹(オリックス)は、高卒1年目から主力投手として活躍していた。

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