2018.07.30

中央学院がピンチを糧に甲子園へ。
監督の武器は「選手を管理しない」

  • 高木遊●文・写真 text&photo by Takagi Yu

 一見するとクールに見える。だが中身は「男気あふれる熱い男」と、深い仲の多くの関係者が口にする。そんな中央学院・相馬幸樹監督が感情を露わにしたのは、西千葉大会準決勝の習志野戦だ。

 サヨナラ勝ちが決まると、相馬監督は拳を握りしめ両手でガッツポーズ。さらに応援席へ挨拶に向かうと、目からは涙がこぼれた。

 習志野の小林徹監督は自身の市船橋時代の恩師であり、夏に勝つのは初めてだった。それだけに「青春時代に自分を作ってくれた監督。尊敬している存在ですから、自然と涙が出ました」と目を真っ赤にした。

春夏連続甲子園出場を果たし、満面の笑みを見せる中央学院・相馬監督(写真中央) そして、この試合で中央学院の選手たちは相馬監督のもとで積み上げてきたものを遺憾なく発揮した。

「焦るな、気持ちだけでいくな」

 西千葉大会準決勝の習志野戦、7回表を終えて1対5のビハインド。しかも習志野はまだプロ注目右腕の古谷拓郎も控えている。そんな劣勢のなか、相馬監督は選手たちに声をかけた。選手たちも冷静だった。

 7回裏、無死から主将の池田翔(かける)がソロ本塁打を放ち1点を返すと、続く田中大輝は内野安打で出塁。さらに西村陸がカウント2ボール2ストライクからエンドランを敢行。打球は三遊間を抜け、レフトが深いのを事前に確認していた田中は一気に三塁を陥れた。これで一気に流れが傾いた。

 この場面を試合後、相馬監督に尋ねると「僕からのサインではなく選手たちの判断です。普段からやっていることをやってくれました」と話す。この後、四球や2本の犠飛で1点差に迫ると、平野翔の三塁打でついに同点に追いついた。

 8回途中から習志野は古谷をマウンドに送ったが、中央学院も2番手の西村陸が踏ん張って延長戦に持ち込み、最後は1年生・青木優吾が古谷からレフトスタンドに飛び込む本塁打を放ってサヨナラ勝ちを挙げたのだった。

 相馬監督は、試合後の取材で感情の高ぶりを抑えきれなかった理由を語った一方で、決勝戦への意気込みを問われると「普遍性をテーマにしてきているので、初戦と同じ気持ちで臨みたいです」と冷静に答えた。