2018.06.30

大学日本代表にまさかの選出。
2人の小兵が世界を驚かせる

  • 菊地高弘●文・写真 text&photo by Kikuchi Takahiro

「アメリカの投手はスピードがありますし、ハイレベル。打者はすぐに対応することが難しいでしょうから、機動力を使える野手を起用したいと考えています。その思いは今日の合宿初日を見て、さらに強くなりました。日本も投手陣のレベルが高いので、そう点は取られません。守備を固めつつ2、3点取れるチームづくりをしていきたいです」

 6月22日、侍ジャパン大学日本代表選考合宿初日を終えた段階で、大学日本代表の生田勉監督(亜細亜大)はこのように語っていた。この言葉を聞いて「選出されたら面白いな」と頭に浮かんだ選手が2人いた。それが米満凪(なぎ/奈良学園大4年)と児玉亮涼(りょうすけ/九州産業大2年)である。

大学選手権では初戦で立命館大に敗れたが、大会タイとなる1試合4盗塁を決めた奈良学園大の米満凪 両選手ともにスピードがある内野手であり、守備力も高い。「生田ジャパン」の構想に合致する人材だったからだ。

 しかし、一方で「選出されるのは現実的ではないかもしれない」という本音もあった。いずれも今春の全国大会で活躍した選手とはいえ、全国的な知名度はない地方大学の小兵だったからだ。

 招集された50名の候補から、24名のメンバーに絞り込まれる過程でふるい落とされるだろうと予想していた。だが、24日に発表された大学日本代表メンバーの中に、2人の名前はあった。

 大いなる驚きとともに、合宿初日の練習終了後に目にした米満と児玉の様子を思い出していた。2人とも選出されるとは思っていなかったが、たまたま話を聞いていたのだ。

 この日、最速156キロを計測した甲斐野央(かいの・ひろし/東洋大)らが報道陣に取り囲まれる中、米満は誰に声を掛けられるわけでもなく、球場通路から現れた。

「今日は全然力を出せなかったですね。守備はまだよかったですけど」

 米満はそう言って、苦笑いを浮かべた。この日の紅白戦ではセンターフライとレフトフライの2打席凡退に終わり、試合終盤には代走として起用されたものの、三盗失敗に終わっている。