プロも騒然。広陵・中村奨成への
7つの質問から探る「捕手の資質」

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 今夏、初めて広陵(広島)の中村奨成(しょうせい)のプレーを見た人間の多くは、甲子園1回戦・中京大中京(愛知)戦で放ったライトへの2本のホームランに衝撃を受けたはずだ。甲子園球場で逆方向に2本も放り込んだ高校生は過去にいたのだろうか。各所で「ボールが飛び過ぎでは?」という声も耳にするが、それを差し引いてもインパクトは絶大だった。

 しかし、現地で観戦していてなによりもしびれたのは、中村のバント処理の速さだ。このプレーには脳天に電撃が走った。

 打球の勢いが死んだバントが転がる。その瞬間、ホームベースを一瞬でまたぐように捕手の中村がチャージする。すぐさまボールを拾い上げ、無駄のないスローイング動作で二塁へ。そのボールがまた、凄まじかった。

高校生ナンバーワン捕手の呼び声高い、広陵の中村奨成高校生ナンバーワン捕手の呼び声高い、広陵の中村奨成 広陵の2年生遊撃手・高田桐利(きり)は二塁ベースカバーに入る際、いつも緊張するという。

「中村さんのボールは低く地面を這ってきて、『ショートバウンドになるかな?』と思ったらならない。速いし、強いし、しっかり構えないと捕れない。少しでもベースカバーが遅れたらボールは通り過ぎているし、早く行き過ぎるとバッターが打った場合に対応できない。だからいつも緊張しますね(笑)」

 高田と二遊間を組む2年生二塁手・吉岡広貴もまた、中村の「猛肩」の恐ろしさを証言する。

「とにかく痛くて(笑)。普通のキャッチャーならベースの手前で失速するのに、中村さんの送球はホップしてくる。試合では(ベースカバーを)ほとんど高田に任せています(笑)。でも回転がいいので、きれいに捕れたら次の動作に移りやすいです」

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