敵に勝つより味方に勝つ。
大阪桐蔭の強さは
熾烈な「競争原理」にあり (3ページ目)
「みんな中学時代はスーパースターで、桐蔭でもレギュラーとしてバリバリやることしか考えてない。将来、『野球でメシを食っていくんや!』って決めているヤツらばかりですから。試合で相手に勝つより、チーム内の競争に勝つことの方がきついんです。勝負は甲子園じゃなく、桐蔭のグラウンドでやる紅白戦であり、シートバッティングでしたから」
チーム内での熾烈なレギュラー争い。その凄まじいまでのエネルギーを、そのまま相手との勝負に"転化"させたような爆発力。
大阪桐蔭で野球を学んだ選手たちは、その後、進学した大学でも、就職した社会人でも、そしてプロの世界でも、その多くがチームの中枢として機能し、素晴らしい活躍を遂げている。
もともと、飛び抜けた素晴らしい才能を持つ野球少年たちが、大人顔負けの生存競争のなかで心身の強靭さと柔軟な思考回路を磨きながら、険しいピラミッドを這い上がっていく。
「野球のうまい少年って、どんな顔をしているのか......」
そんな先入観で大阪桐蔭の選手たちを見ると、みんな童顔で、どこにでもいる、あどけなさの残る普通の少年たちだ。
「しんどいだろうな......」
甲子園という大舞台での勝利にも、彼らに弾けるような無邪気な笑顔はない。試合が終われば、レギュラー争いというもうひとつの戦いが始まる。その緊張感が大阪桐蔭の強さを支えているのだ。
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