清宮だけじゃない。早実・金子銀佑の「超高校級守備」を見逃すな

  • 菊地高弘●文・写真 text&photo by Kikuchi Takahiro

 快音を残して鋭い打球が投手の脇を抜けていった。その瞬間、球場にいた誰もが「センターに抜けた」と思ったに違いない。しかも、その打球は二塁ベース付近でわずかにイレギュラーさえしていたのだ。

 ところが、恐るべきスピードで打球に反応していた"背番号6"が目いっぱいグラブを伸ばしてあっさりと捕球し、一回転しながら体勢を立て直してすぐさま一塁へ送球。次の瞬間には一塁塁審の腕が高々と上がっていた。

昨年夏の甲子園でも活躍した早実の主将・金子銀佑昨年夏の甲子園でも活躍した早実の主将・金子銀佑 なんという一歩目の速さ、なんというグラブさばき、なんというボディーバランス。この打球を打った柳澤憲人(明大明治2年)は、こんな感想を漏らしている。

「金子さんがすごくうまいショートということは知っていたので、打った瞬間は『抜ければいいな』と思いましたけど、気づいた時にはもう(打球に)追いついていました。捕られた時点でアウトになるなと。試合前から『ショートは絶対にエラーはない』と思っていたので」

 早稲田実業の背番号6・金子銀佑(かねこ・ぎんすけ)。身長168センチ、体重68キロという小兵は、昨夏から不動のレギュラーとして出場し続けている。

 1学年下の清宮幸太郎が高校入学直後から注目を集めるなか、多くのメディア、ファンも次第にあることに気づき始めていた。「超高校級なのは清宮だけじゃない」と。

  金子のフィールディングは、すでに大学生のトップクラスと比べても遜色ないと思わせるほどレベルが高い。本人が守備についてこだわっていることは3つある。「一歩目のスピード」「捕球時に腰が浮かないようにする」そして最後に「捕ってから投げるまでを誰よりも速くする」という点だ。

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