地方大にもいる今秋ドラフト候補の逸材たち。大学野球選手権が開幕 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 先述したように、今春の明治大は絶対的な力を持っていたわけではなかった。高山俊、坂本誠志郎(ともに阪神)、上原健太(日本ハム)、菅野剛士(日立製作所)といった主力が抜け、リーグ戦では対戦した全5チームに敗戦した。東京大戦でも1敗を喫したが、それは今春ブレークしたエース左腕・宮台康平(3年)が登板せず、2番手以降の投手に抑えられての敗戦だった。

 柳はそんなチームの大黒柱として10試合に登板し、6勝1敗、リーグ最多の72回1/3を投げて87奪三振、防御率0.87という好成績を残した。大学4年生になって成績を落とすドラフト候補が多いなか、むしろ状態を上げてきている。明治大は大会3日目(東京ドーム)、に関西国際大と花園大の勝者と対戦するが、柳の登板は見られるだろうか。

 野手の目玉は吉川尚輝(中京学院大4年)だ。今秋のドラフト候補全体を見渡しても、今のところ野手でナンバーワンの注目度と言ってもいいかもしれない。

 身長175センチ、体重73キロとサイズは大きくないが、グラウンドで目を引く遊撃手。プロ仕様の軽やかなフィールディングは、試合前のシートノックからチェックしたいところだ。50メートル走5秒7の快足に加え、非力さが見えた打撃も着実に成長している。

 岐阜・中京高から東京の名門大学に進学する予定だったが、事前のキャンプで部に馴染めず入学辞退をしている。その後は菊池涼介(広島)の母校でもある中京学院大に入学し、自主性を重んじる部でのびのびと成長。大学日本代表に選ばれるまでの存在になった。

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