【高校野球】U-18W杯で清宮幸太郎が初めて味わった「4番の重み」 (2ページ目)

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Nagase Yuya/PHOTO KISHIMOTO

 選手権ではファーストストライクから積極的に手を出していく姿勢が印象深かったが、W杯の戦いも後半になるにつれ、初球の甘いボールを簡単に見逃し、難しいボールに気のない中途半端なスイングをする清宮の姿が目立った。

 この夏、西東京大会から「自分の形でスイングすれば、ボールは飛んでくれる」と語ってきた清宮が、打席内で動揺を隠せなくなっていた。それは迷いなのか、あるいは試行錯誤だったのか。

「今日も自分の形で打つことができたし、悪いスイングではなかったんです。ただ振り返ってみると、1本が出ないことで焦ったというか、『なんとしてでも』という気持ちが強すぎたかもしれない。のびのびとできなかった感じはあります」

 日本が1点を返したあとの6回裏も、二死一、二塁で打席に入り、ここはセカンドへの内野安打で5番の平沢大河(仙台育英)につなげたが、走者を還すことはできなかった。

 佐藤世那(仙台育英)が3回に自らの失策が絡んで2失点したあとも2種類のフォークを使って踏ん張り、5回からマウンドに上がった上野翔太郎(中京大中京)がアメリカ打線を0点に抑えた緊迫のゲームにあって、清宮に1本が出ていれば試合展開は大きく変わっていたかもしれない。だからこそ、1-2と惜敗したチームの敗因を、清宮はひとりで背負い込んでいたのだろう。

「打つべき人が打たないと試合には勝てないし、9人がそれぞれの仕事をしっかりして、打線を線にして戦わないと強い相手には勝てない。もうこんな思いはしたくない。高校野球を頑張って、(次回のカナダ大会が開催される)2年後にもう一度選んでいただいて、リベンジを果たしたい」

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