【高校野球】第84回センバツ展望。
逸材揃う東北勢に初優勝の期待

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

昨年からチームの中軸を担う光星学院の田村龍弘昨年からチームの中軸を担う光星学院の田村龍弘 被災地から出場する石巻工(宮城)の阿部翔人主将の選手宣誓で始まる予定の第84回センバツ高校野球大会。今大会のみどころは、ずばり東北勢の甲子園初優勝なるかだ。

 投げても打ってもドラフト1位候補の大器、注目度ナンバーワンの大谷翔平を擁する花巻東(岩手)は、初戦から大阪桐蔭と当たる激戦ブロックに入った。左足の故障で昨秋は登板ゼロの大谷だけに、ひとりで投げ抜くのは難しい。大谷不在の間、マウンドを支えた左の小原大樹、右の佐々木毅の両投手がどれだけ大谷の負担を減らせるかがカギとなる。一方の打線は、打率4割を超える大谷、高橋翔飛(たかはし・しょうと)、大澤永貴(おおさわ・えいき)、太田知将(おおた・かずまさ)の左打者が軸。下級生の時から試合に出ている選手も多く、昨年夏の甲子園でも6人が先発出場を果たすなど経験も豊富。準優勝以来3年ぶりの出場となるセンバツで、先輩たちが果たせなかった「日本一」を目指す。

 昨年夏の甲子園準優勝、秋の明治神宮大会優勝の光星学院(青森)は、旧チームから主軸を務める田村龍弘、北條史也が健在。田村は東北大会準決勝の花巻東戦で2本塁打。北條も明治神宮大会の神村学園戦で逆転サヨナラ満塁本塁打を放った。身体能力の高いリードオフマン・天久翔斗(あめく・しょうと)ら前後を固める打者にも好素材の選手が並び、攻撃力は全国屈指だ。

 花巻東、光星学院の陰に隠れているが、聖光学院(福島)もまとまりのある好チーム。昨年の歳内宏明(阪神)のようなスター選手はいないが、エース・岡野祐一郎は昨年秋の公式戦の防御率0.15と抜群の安定感を誇る。また、核弾頭の斎藤湧貴は俊足に加え、172センチと小柄ながら一発もある。選手ひとりひとりの意識が高く、チームとしての一体感は昨年より上。センバツはまだ未勝利なだけに、1勝して勢いに乗りたい。

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