オリックスの核弾頭、西野真弘が憧れの人から譲り受けた1本のバット

  • 波佐間崇晃●文 text by Hazama Takaaki
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 167センチ、68キロの小さい体が躍動している。プロ2年目のオリックス西野真弘。4月が終わるまで26試合に出場し、9試合でマルチヒット。5月8日のロッテ戦でプロ初の5打数5安打をマークすると、打率を.339まで押し上げた。ここまでチーム不動のリードオフマンとして打線を牽引している。

ここまで打率.302をマークし、出塁率.391はチームトップの西野真弘ここまで打率.302をマークし、出塁率.391はチームトップの西野真弘

 2014年ドラフト会議での指名順位は7位だったが、ルーキーイヤーの昨シーズンは規定打席未到達ながら打率.304と、期待を大きく上回る成績を残す。7月に見舞われた右手首有鉤骨の骨折さえなければ新人王を十分に狙える位置にいた。パ・リーグでは1998年西武小関竜也以来、野手の新人王は現れていないだけに惜しまれる結果に終わったが、それほど、西野は輝きを放っていた。

 その西野が「憧れの存在です」と常々話すのが、昨年のチームメートであり、現在、阪神で二軍守備走塁コーチを務める平野恵一だ。

 平野は169センチ、67キロで、西野と体格はほぼ同じ。ともに右投げ左打ち、主な守備位置はセカンドと、共通点は多い。

「プロ入り前からずっと憧れていたのが恵一さん。オリックスに指名されて、まず嬉しかったのが恵一さんと一緒にプレーできるということでしたね」

 ふたりがともにプレーしたのは、昨年3月25日から5月21日までというわずかな期間だった。平野は5月21日に右のかかとを痛めて登録抹消されたが、それまでの期間、西野は必死にその姿を目に焼き付けていた。

「尊敬している分、簡単には話しかけられなかったですよ。本当はいろいろと質問したいことはありましたけど......」

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